一票の価値 ― 議会で(⑧⑨⑩)

票は議席に、議席は議会の力に。割合はそのまま?

選挙で投じられた票は、議席になり、議会で採決するときの力になります。けれども、その途中で「割合」がそのまま受けつがれるとはかぎりません。上の投票率を動かすと、ひだまり市議会(架空・定数12)の顔ぶれが変わります。

⑧

ギャラガー指数

得票の割合と議席の割合は、どれだけずれている?

ふつう

政党やグループごとに「得票の割合」と「議席の割合」をくらべ、そのずれを1つの数字にまとめたものです。0なら得票と議席がぴったり比例していて、数字が大きいほど、ずれが大きいことを表します。選挙制度をくらべるときによく使われる指標です。

式実際の得票と議席は、下の「実際の数字を入れる」の表に入れると、この式で計算しなおします

ためしてみる

データの調べ方
  • 国政選挙:総務省のホームページの選挙結果に、党派別の得票数と当選者数がのっています。小選挙区と比例代表は、別々に計算します。
  • 地方選挙:選挙管理委員会の「党派別」の集計を使います。ない場合は、候補者の所属党派ごとに得票数と当選者数を合計します。
  • 無所属の候補が多い地方選挙では、無所属をひとまとめにするかどうかで数字が変わります。くらべるときは、まとめ方をそろえましょう。

気をつけたいこと

1人1人の1票の価値を、直接はかる数字ではありません。この数字だけで、選挙制度のよい・わるいは決められません。小選挙区の票と比例代表の票のように、性質のちがう票をまぜて計算しないことも大切です。

?考えてみよう

得票の割合と議席の割合が、ぴったり同じになる選挙が、いちばんよい選挙なのでしょうか。

⑨

バンザフ指数

議会で、可決に欠かせないのはだれ?

発展

議会では、会派(考えの近い議員のグループ)が組んで「可決に必要な数」に届くかどうかで結果が決まります。可決できる組み合わせをすべて書き出し、「その会派が抜けると可決できなくなる」回数を数えたものがバンザフ指数です。議席が少なくても、決定力が小さいとはかぎりません。

会派と議席を決める例をえらぶか、会派の議席を自由に変えてください。⑨と⑩の両方を計算します

式上の「会派と議席を決める」に、実際の会派の議席数を入れると、この式で計算しなおします

可決できる組み合わせ赤い会派が、その組み合わせで「欠かせない」会派です

データの調べ方
  • 会派ごとの議員数:議会のホームページの「会派別議員名簿」「会派構成」。
  • 可決に必要な数:ふつうの議決は、出席議員の過半数です。市役所の位置を変える条例のように、出席議員の3分の2以上の賛成が必要な議決もあります。
  • 議長:ふつうの議決では、議長は採決に加わらず、賛成と反対が同数のときに議長が決めます(地方自治法第116条)。この計算では、議長が決める場面は入れていません。

気をつけたいこと

会派ごとにまとまって同じ賛否で投票し、どの組み合わせも同じように起こると仮定した計算です。実際の議会では、政策の近さや話し合い、会派の中の意見のちがいで結果が決まります。「60%」は、その会派が決め手になる確率が60%という意味ではありません。

?考えてみよう

議席の少ない会派が大きな決定力を持つことは、議会にとってよいことでしょうか、それとも問題でしょうか。

⑩

シャープレー=シュービック指数

賛成が1つずつ集まるとき、可決を決めるのはだれ?

発展

会派が1つずつ賛成に加わっていく順番を、すべて考えます。そして、その会派が加わったときに初めて可決に必要な数に届く回数を数えます。1954年にシャープレーとシュービックが、議会や委員会の力の配分をはかる方法として示しました。上の⑨と同じ会派の設定で計算しています。

式上の「会派と議席を決める」の数字で計算しています

賛成に加わる順番赤い会派が、その順番で可決を決めた会派です

⑨と⑩のちがい

指数数えるもの
⑨ バンザフ指数可決できる組み合わせの中で、その会派が抜けると否決になる回数
⑩ シャープレー=シュービック指数賛成に加わる順番の中で、その会派が加わって初めて可決に届く回数

「力」の定義や数え方によって、同じ議席でも評価が変わります。

気をつけたいこと

この「順番」は計算のための仮定で、実際に起立する順番の有利・不利を表すものではありません。また、⑨⑩から「この会派に投票した人の1票は○倍の価値がある」とは言えません。はかっているのは、会派を1つのまとまりとしたときの決定力です。

?考えてみよう

あなたなら、議会での「力」を、何ではかりますか。

このページの前提

ひだまり市議会の数字は、ほかのページと同じモデル(定数12・候補20人)の開票結果です。⑧と⑨⑩の「ひだまり市議会」の例では、候補者の3つのタイプ(固定票型・生活型・新風型)を、政党や会派のようなグループとみなして計算しています。実際の選挙で、候補者がタイプごとにまとまるわけではありません。

参考:Gallagher, M. (1991) Proportionality, disproportionality and electoral systems. Electoral Studies 10(1)。Shapley, L. S. & Shubik, M. (1954) A Method for Evaluating the Distribution of Power in a Committee System. American Political Science Review 48(3)。