一票の価値 ― 投票所で(①②③)
あなたの1票の重さは、どれくらい?
1票は、大勢の中の1票です。けれども、住んでいる選挙区、選ばれた人が決める予算の大きさ、投票する人の数によって、その重みの見え方は変わります。3つのものさしで、はかってみましょう。式の □ には、実際の数字を入れて計算できます。
代表を選ぶ重み(一票の格差)
住んでいる場所で、1票の重さは変わる?
有権者1人当たりに、どれだけの議席が配分されているかを表します。逆に「議員1人当たりの有権者数」で表すこともできます。選挙区がいくつかに分かれている選挙では、この数が選挙区によってちがいます。いちばん重い選挙区といちばん軽い選挙区の比を「一票の格差(較差)」といいます。
例A選挙区(有権者10万人・定数2人)では5万人で1人、B選挙区(有権者20万人・定数2人)では10万人で1人の議員を選びます。代表を選ぶ重みでは、A選挙区の1票は、B選挙区の1票の2倍です。
式□ の数字を書きかえると、その場で計算します
計算してみる(選挙区がいくつもあるとき)表の数字や定数を変えると、上の式の数字も変わります
データの調べ方
- 選挙区ごとの有権者数:選挙管理委員会の「選挙人名簿登録者数」(区ごと・選挙区ごと)。国政選挙は、総務省が選挙ごとに「当日有権者数」を公表しています。
- 選挙区ごとの定数:議員定数条例(自治体の例規集)や、選挙管理委員会の「選挙のお知らせ」。
- 実際の定数の配分は、有権者数ではなく人口をもとにすることが多いので、有権者数で計算した格差とは少しちがいます。
気をつけたいこと
人口を基準にする計算と、有権者数を基準にする計算は区別しましょう。これは議席の配分をはかる指標で、特定の候補者が当選する確率を示すものではありません。
市町村議会の多くは、市全体で1つの選挙区なので、格差は生じません。都道府県議会、区ごとに選挙区がある政令指定都市の議会、国政選挙で問題になります。
人口の少ない地域の声をどう届けるか、という論点もあります。
つながるものさし:③ 投じられた票の中での割合⑧ ギャラガー指数一票の格差の裁判(事例と年表)
格差は、何倍までなら許されるでしょうか。人口の少ない地域の声は、どう届けるのがよいでしょうか。
一票に対応する予算規模
選挙で判断を託す予算は、有権者1人当たりどれくらい?
市長と議員は、任期のあいだ、毎年の予算を決めます(予算は市長がつくり、議会が議決して決まります)。任期中の予算を有権者の数でわると、選挙で判断を託す予算の規模が、有権者1人当たりでどれくらいかがわかります。福祉・教育・道路・防災など、暮らしと選挙のつながりを実感するためのものさしです。
式□ の数字を書きかえると、その場で計算します
計算の結果
まちと国でくらべる国の予算は、国会(衆議院と参議院)で議決して決まります
データの調べ方
- 1年の予算:市区町村のホームページの「予算の概要」「当初予算」(一般会計の総額)。決算の数字は、総務省「決算カード」の「歳出総額」でも調べられます。
- 任期:市区町村長と地方議員は4年。衆議院議員も4年(解散があります)、参議院議員は6年です。
- 有権者数:③と同じです。
気をつけたいこと
この金額は、本人が受け取れる金額でも、1票で自由に動かせる金額でもありません。「棄権すると○万円を失う」とも計算できません(○×クイズ)。「一票の値段は○万円」よりも、「選挙で判断を託す予算の規模は、有権者1人当たり約○万円」と言うほうが正確です。
ここでは一般会計(ふだんの行政の予算)で計算しています。特別会計や企業会計を加えると、もっと大きくなります。予算の多くは、法律などで使い道がおおむね決まっています。国の予算には、借金の返済(国債費)や、地方に配るお金(地方交付税交付金)も含まれます。どの予算を対象にするかで、結果は変わります。
つながるものさし:⑤ 投票の期待効用⑨⑩ 議会での決定力予算で換算した研究(事例と年表)
この予算の使い道を決める人を、あなたは何をもとに選びますか。
投じられた票の中での割合
あなたの1票は、投じられた票全体の何分の1?
1を投票総数でわると、投じられた票の中で1票が占める割合がわかります。投票する人が少ないほど、1票が占める割合は大きくなります。全員が投票したときにくらべた倍率は「1 ÷ 投票率」です。「どれだけの人が参加して結果を決めているか」を、いちばん簡単な算数で示すものさしです。
式□ の数字を書きかえると、その場で計算します
計算してみる投票率を動かすと、1票の割合が変わります(上の式とつながっています)
投票率でくらべる有権者10万人の場合
選挙の大きさでくらべる身近な選挙ほど、1票の割合は大きくなります
データの調べ方
- 有権者数・投票者数・投票率:市区町村の選挙管理委員会のホームページの「選挙の結果」「投票結果」に、選挙ごとにのっています(「当日有権者数」「投票者数」)。
- 選挙がない時期の有権者数:「選挙人名簿登録者数」として、毎年3月・6月・9月・12月に公表されています。
- 国政選挙:総務省のホームページ「選挙関連資料」に、全国と都道府県ごとの数字があります。
気をつけたいこと
これは、あくまで「票全体に占める割合」です。投票率が半分になっても、1人が2票を持つわけではなく、当落への影響が必ず2倍になるわけでもありません(④)。候補者の得票率を考えるときは、無効票を除いた有効投票総数を分母にします(⑦)。
数字が小さく見えるのは、1票が軽いからではなく、大勢で決めているからです。投票しない人が多いと割合は大きくなりますが、それは、少ない人数でまち全体のことを決めている、ということでもあります。
つながるものさし:④ 当選確率を変える効果⑦ 絶対得票率市長選と投票率のシミュレーター
投票しなかった人の「1票分の割合」は、どこへ行ったのでしょうか。