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相模原市議会で議員立法!「自殺対策基本条例」が成立。

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 平成25年3月22日、相模原市議会本会議で、民生員会提案による「自殺対策基本条例」が全会一致で可決され、条例が制定されました。相模原市議会初の議会からの政策条例となりました。平成25年4月1日より施行です。

概要・特徴等は以下の通りです。

【概要】
 相模原市議会民生委員会では、「自殺対策」が喫緊の課題の一つであることことから、所管事務調査の活動項目のテーマとして取り上げることとし、新潟県及び条例を制定している新発田市への視察を行った。
 視察後は、条例案作成のため、部会という任意の会合を繰り返し開催し、議論を重ねてきた。

 平成25年2月7日には、条例の策定に当たって幅広い市民の意見を反映するため、民生委員会委員と市民との意見交換会を開催し、多くの市民の参加を頂き活発な議論が行われた。また、同日、自殺対策の現場にいるカウンセラーの方や精神科医の方を招き、実際の現場のお話を聞くために意見交換を行った。

 条例案を策定する過程では、個々の委員が政務調査費を活用し、先行して取り組みを行っていた「日野市」「松山市」「平塚市(江口市議)」「横須賀市(藤野市議)」等への視察も行い、条例制定の必要性を確信するに至っている。

 平成25年3月6日,7日に開催された相模原市議会三月定例会民生委員会で、条例案提出の最終確認が行われ、3月22日、相模原市議会三月定例会最終日には条例案が全会一致で可決され、条例の制定となった。

 施行は平成25年4月1日から。

 これら一連の活動は、これまで議会改革の項目として検討を重ねてきた「議員間討議」の内容を取り入れ、議会に求められている立法機能を発揮し、視察等の市民に見えにくい活動の成果を、具体的な政策として積極的に市政に反映させようと取り組んできたものである。

【内容】
 自殺を個人の問題としてではなく、社会全体の問題として捉え、隣接する自治体とも連携し、市をあげて、地域の実情に応じた対策・取組を進めなければならないとし、市民一人ひとりが自殺への理解を深め、自殺対策の担い手として寄り添い、共に支え合い健康で生きがいを持って暮らすことのできる相模原市をつくるための条例であることを明記している。また、市・市民・事業主・学校等教育機関等の責務や、自殺者やその関係者の名誉及び生活の平穏への配慮、市が必要な財政措置を講じること、自殺対策協議会の設置等を定めている。

【特徴等】
・本市初の、常任委員会提出による政策条例。本格的な議員立法。
・政令市初の、自殺対策の条例。全国でも6番目。県内ではほかに、平塚市が全国に先駆けて制定している。
・条文を「です」「ます」調の話し言葉で記述。市民に親しみやすい条例とした。
・各条文には、分かりやすい内容で正確に内容が伝わるよう慎重に言葉を選び、各委員の思いは「前文」に込めるようにした。
・条文に定める行動計画の策定にあたっては、国の自殺対策基本法及び昨年8月に改定が閣議決定された自殺対策総合大綱を基本としつつ、「若い世代を中心とした市民参加の増進」や「近隣自治体との広域的な連携の強化」等、本市の特徴にあった取り組みの推進も盛り込んでいる。
・議会運営委員会により設置されている議会改革検討会(岸浪孝志座長)では、平成25年度以降も、5つの常任委員会でそれぞれテーマを設置し、所管事務調査の形で自由討議(議員間討議)も行い、1年間の活動の成果を、こうした条例制定や提言等何らかの形にまとめよう、とのことで意見がまとまり、議会運営委員会に報告・答申される予定。
・大切なことは、条例を作ることではなく今後の取り組みが活きてくること。議会では、今回の民生委員会のメンバーを中心に、議会でのゲートキーパー研修の受講(4/23)も予定している。
・相模原市では、精神保健福祉センターも設置され、2011年1月には、相模原で活動するサッカー・ラグビー・アメフトチームが合同で市の提案する「自殺対策事業における協定書」に調印するなど、積極的にな取り組みがなされてきており、条例制定がこうした取り組みを後押しすることになると考えている。
・相模原市では、既に自殺対策協議会が設置されており、具体的な行動計画に関しての答申が、本条例の施行後、4月中に行われる予定。
・議会改革の取り組みの一環として、議会による条例制定の取り組みがある。議員個人や会派から、または議運等からの提案などそのやり方は多々ある。常任委員会からの条例案提案は、平成18年の地方自治法改正(常任委員会への所属制限を撤廃※法第109条第2項)により可能となっていたもの。

【所感等】
 民生委員会の委員として精力的に取り組んできた私としては、「自殺という大きな課題に議会が取り組み姿勢を明確にした意義は大きい。大切なことはこれからの取り組みで、様々な形で活動を続けたい。」と感じた。また、「防げる自殺は防ぎたく、複雑に重なる様々な要因については一つひとつ丁寧に対応したい。一人でも多くの方にご協力いただき、一緒に取り組んで行きたい。」との思いも持った。

 条例制定の取り組みを行う上で、関山由紀江委員長、小野弘副委員長のリーダーシップは大きいものであった。また内容の充実には、各委員の積極的な参加が欠かせるものではなく、議論を重ねる中での条例制定は合議体である議会の仕事であると感じられた。

 また、議会改革の面からは、「一年間の委員会活動が具体的成果として市民の皆さんに見えることは大切なこと。これからも議会の権能を大いに発揮して、市民のために取り組んで行きたい。」と感じた。

【相模原市自殺対策基本条例】全文

 相模原市自殺対策基本条例

相模原市民憲章にもうたわれているとおり、このまちで暮らす市民一人ひとりがいのちを大切にし、思いやりと笑顔で明るいくらしを築くこと、それが私たちの願いです。
しかし、わが国においては、毎年多くの尊いいのちが自殺によって失われており、本市においても例外ではありません。
自殺はその多くが、個人の意思や選択によるものではなく、様々な要因が複雑に絡み合って深刻化した結果による、追い込まれた末の死であります。
そのため、自殺を個人の問題としてではなく、社会全体の問題として捉え、隣接する自治体とも連携し、市をあげて、地域の実情に応じた取組を進めなければなりません。
また、私たち市民は、自殺を考えている人が発するサインに気づき、予防につなげていけるよう、自殺対策の担い手として寄り添うことが求められています。
このまちで暮らす市民一人ひとりが自殺への理解を深め、共に支え合い健康で生きがいを持って暮らすことのできる相模原市をつくるために、この条例を制定します。

(目的)
 第1条 この条例は、相模原市(以下「市」といいます。)においても自殺が社会問題となっている状況下において、自殺対策に関し、基本理念を定め、自殺対策を総合的に推進することにより、いのちを大切にし、市民が共に支え合い健康で生きがいを持って暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とします。

(基本理念)
 第2条 自殺対策は、自殺が個人的な問題だけではなく、その背景に様々な社会的要因があることを踏まえ、個人に対する働きかけと社会に対する働きかけの両面から実態に即して総合的な取組として実施されなければなりません。
 2 自殺対策は、市民一人ひとりがその主役となるよう普及、啓発活動等に取り組まなければなりません。
 3 自殺対策は、自殺の事前予防、自殺発生の危機への対応及び自殺が発生した後又は自殺が未遂に終わった後の事後対応の各段階に応じ、効果的な施策として実施されなければなりません。
 4 自殺対策は、市民が共に支え合う地域づくりを促進するという観点から、地域の実情に即したきめ細かな施策として実施されなければなりません。
 5 自殺対策は、市、国、神奈川県、近隣自治体、医療機関、事業主、学校、市民等の相互の密接な連携の下に実施されなければなりません。

(市の責務)
 第3条 市は、前文の精神及び前条に定める基本理念にのっとり、国、神奈川県、近隣自治体及び関係機関と協力しつつ、自殺に関する現状を把握し、地域の実情に配慮した、効果的な自殺対策を推進しなければなりません。
2 市は、次条及び第5条に規定する事業主及び市民の自殺防止等に関する取組を支援するものとします。

(事業主の責務)
 第4条 事業主は、市、神奈川県、関係機関等と連携しながら、その職場で働く全ての者が心身ともに健康で職務に従事できるような職場環境づくりに努めるものとします。

(市民の責務)
 第5条 市民は、自殺対策及び自殺をめぐる諸課題について関心と理解を深めるとともに、一人ひとりが自殺防止と課題解決に向けた担い手となるように努めるものとします。

(学校等教育機関の責務)
 第6条 学校等教育機関は、自殺に対する理解を深め、市、神奈川県、保護者、関係機関等と連携しながら、児童、生徒及び学生がいのちの大切さを実感して心身ともに健康な生活を送れるように努めるものとします。

(名誉及び生活の平穏への配慮)
 第7条 自殺対策の実施に当たっては、自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、これらを不当に侵害することのないようにしなければなりません。
 2 自殺対策の実施に当たっては、自殺未遂者及び自死遺族等が健全な市民生活を継続して送ることができるよう十分配慮しなければなりません。

(財政上の措置等)
 第8条 市は、この条例の目的を達成するため、必要な財政上の措置その他の措置を講じなければなりません。

(自殺総合対策の推進にかかる行動計画の策定)
 第9条 市は、この条例の目的を達成するために、自殺総合対策の推進にかかる行動計画を策定し、次に掲げる自殺対策に関する施策を推進するものとします。
  (1)自殺の実態及び自殺を取り巻く諸課題に関する調査・研究
  (2)自殺に関する市民一人ひとりの気づきと見守りの促進
  (3)自殺対策に関する早期対応の中心的役割を果たす人材の確保及び育成
  (4)心の健康づくりのための相談体制の整備・充実
  (5)適切な精神科医療が受けられる体制の充実
  (6)自殺防止のための社会的取組の強化
  (7)自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐ取組の強化
  (8)自殺未遂者及び自死遺族等に対する支援
  (9)自殺対策に関する活動を行う民間団体の育成及び連携の強化
  (10)自殺対策に関する若い世代をはじめとする市民参画の増進
  (11) 自殺対策に関する近隣自治体との広域的な連携の強化

(相模原市自殺対策協議会の設置)
 第10条 市は、自殺対策が関係機関等による密接な連携の下、自殺総合対策に関する重要事項について、市長の諮問に応じて調査審議し、その結果を答申し、又は建議するため、相模原市自殺対策協議会(以下「協議会」といいます。)を設置するものとします。
 2 協議会の委員は、20人以内とします。
 3 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱します。
  (1)学識経験のある者
  (2)関係団体から推薦された者
  (3)市の住民
  (4)関係行政機関及び関係法人の職員
 4 協議会の委員の任期は、2年とします。ただし、補欠の委員の任期にあっては、前任者の残任期間とします。

(条例の見直し)
 第11条 この条例は、自殺対策の運用状況、実施効果等を勘案し、第1条の目的の達成状況を評価した上で、必要に応じて見直すものとします。

(委任)
 第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定めます。

附 則

(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行します。
(附属機関の設置に関する条例の一部改正)
2 附属機関の設置に関する条例(昭和37年相模原市条例第17号)の一部を次のように改正します。
別表市長の部相模原市自殺対策協議会の項を削ります。
(経過措置)
3 この条例の施行の際現に前項の規定による改正前の附属機関の設置に関する条例(以下「改正前の附属機関条例」といいます。)に定める相模原市自殺対策協議会の委員である者は、この条例に定める相模原市自殺対策協議会の委員とみなし、その任期は、改正前の附属機関条例による任期の残任期間とします。

【民生委員会委員】平成24年度
委員長
  関山由紀江 委員長(公明党相模原市議団
副委員長
 小野弘 副委員長(新政クラブ
委員
 五十嵐千代 委員(無所属)
 久保田浩孝 委員(公明党相模原市議団
 鈴木秀成 委員(民主・新無所属の会)
 臼井貴彦 委員(無所属)
 石川将誠 委員(新政クラブ
 阿部善博 委員(新政クラブ
 松永千賀子 委員(日本共産党相模原市議団
 大沢洋子  委員(民主・新無所属の会)

【関連リンク】
相模原市自殺対策基本条例について 相模原市議会平成25年三月定例会 委員会提出議案第4号
自殺対策に関する条例の制定に向けた意見交換会の開催について 相模原市発表資料 平成25年1月31日

市を挙げて自殺防げ、民生委提案の条例案可決/相模原 カナロコ 2013年3月22日
市挙げて自殺防止、市議会民生委員会が対策条例を提案へ/相模原 カナロコ 2013年2月8日
自殺予防 「心のケアの施策進めよ」カナロコ・社説 2011年6月26日

意見交換を実施 タウンニュース南区版 2013年2月14日号
「自殺は社会の課題」 対策 市議が条例提出へ タウンニュース南区版 2013年2月7日号

(仮称)自殺対策基本条例案、市民意見交換会 相模原市議松永ちか子ブログ 2013.02.09
(仮称)自殺対策基本条例(案)、市民意見交換会へどうぞ 相模原市議松永ちか子ブログ 2013.02.07
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自殺対策条例が相模原市議会で成立!/阿部・小野議員、おめでとうございます 横須賀市議藤野英明議員ブログ 2013年3月23日
自殺対策条例を議員提案へ!/全国で4番目、相模原市議会 横須賀市議藤野英明議員ブログ 2013年1月18日

以上、よろしくお願いいたします。

阿部善博

自殺対策基本条例制定!

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