地方議会を変革する生成AI活用講座 ~地方議員がゼロから始めるChatGPT~(早大マニフェスト研究所)参加報告
【タイトル】地方議会を変革する生成AI活用講座 ~地方議員がゼロから始めるChatGPT~
【日時】2024年4月19日(金)13:00-17:30
【参加者】阿部善博議員
■概要
【日 時】 <4月開催>2024年 4月19日(金)13:00~17:30(12:45開場予定)
【場 所】早稲田大学 日本橋キャンパス (コレド日本橋5F。地下鉄東京メトロ日本橋駅に直結)
【形 式】対面のみで開催
【対 象】地方議会議員
(地方議員向けの内容としているため、議員の方を優先させて頂きます)
【条 件】・PC・タブレットを持参できること(※Wi-fi環境は準備いたしますが、PC等の貸し出しはありません)
・ChatGPT4(有料版)が受講時に登録済みであること(登録方法が分からない方には別途ご案内します)
・ワード等で文章を作成できること
【費 用】1万1千円(税込)※ChatGPT4の登録に必要な費用は含まれていません
【定 員】30名(先着順)
【主 催】早稲田大学マニフェスト研究所
【協 力】NTTアドバンステクノロジ株式会社
■プログラム
※講演タイトル・内容は予告なく変更する場合があります。ご了承ください。
1時間目(13:00~14:15)生成AIとChatGPTの活用:基礎セッション
①「議会改革と生成AI」
早稲田大学マニフェスト研究所 招聘研究員 林 紀行(日本大学法学部教授)
②「ChatGPTの基本操作と活用スキル、プロンプト」
早稲田大学マニフェスト研究所 招聘研究員 西川 裕也(NTTアドバンステクノロジ(株) 担当課長)
2時間目(14:30~15:45) 生成AIとChatGPTの活用:演習セッション(1)
①「ChatGPTを使って、3月議会の質問をブラッシュアップする」
②「ChatGPTを使って、6月議会の質問項目と質問の文章を作成する」
③「ChatGPTを使って、首長と質疑応答を行う」
3時間目(16:00~17:30) 生成AIとChatGPTの活用:演習セッション(2)
①「ChatGPTを使って、模擬議員間討議を行う」
②「ChatGPTを使って、首長botと議員botを作成する」
③他の生成AIの活用方法
④質疑応答・意見交換
⑤総括 早稲田大学マニフェスト研究所 事務局長 中村健
【目的と概要】
ChatGPT等の生成AIが、産業界をはじめとする社会の各分野へ進出し続けている。こうした状況下、私たちの相模原市でも、国産生成AIを開発する日本電気株式会社(NEC)と生成AI共同検証に関する協定が締結された。本年3月の相模原市議会でも自民党須田毅議員からの代表質問への答弁において、実際にこの国産生成AIが活用されて答弁案が作成された。
この生成AIについてその実態や特徴を理解し、行政としての対応について学ぶとともに、議会・議員活動への応用も含め、様々な情報収集と利用について学び、実際に体験することを目的に研修に参加した。
この研修会は、地方自治体の業務効率化と地方議会の質の向上を目的として、生成AI技術、特にChatGPTの活用方法を議員に紹介することを目指し開催された。参加者は、自身のPCやタブレットを使用し、議会質問の作成やブラッシュアップの実体験を行った。また、プロンプトと呼ばれる質問文の作成技術や生成AIの基本操作、活用スキルを学ぶことで、議会運営の効率化と質の向上を図ることを目指した。
【研修内容①】「生成AIとChatGPTの活用」と題した基礎セッション及び「ChatGPTの基本操作と活用スキル、プロンプト」では、ChatGPTが、ユーザーの質問により、確率上一番あり得る回答、つまり無難な回答を返す仕組みであり、蓄積したデータが膨大になればなるほど、人間より賢く見える文章の生成が可能となる仕組みであること、また、こうした性質上、確率的に正しそうに見えるだけの回答が返されていて、回答が正しいとは限らず、ユーザーによる事実確認が必須であることを学んだ。
【研修内容②】次のセッションでは、ChatGPTを実際に使い、議会での質問をブラッシュアップしたり、質問項目の洗い出しや質問の文章推敲を行った。首長のBOTを作成し、質疑のやり取りをシミュレーションさせ、今後の利用法についての可能性を感じることもできた。
【研修内容③】最後のセッションでは、ChatGPTの中にペルソナと呼ばれる架空の人格を作成し、そのペルソナ同士が議論を行うという模擬議員間討議を行った。これは、実際の議員間討議を行わなくても、想定する問題や事項に対する様々な視点をあらかじめ洗い出すことができるものである。議論の広がりを予感させるものであった。
また、早稲田大学マニフェスト研究所事務局長の中村健氏の総括では、
・首長側に比べ圧倒的に少ない議会側の、議員自身及び議会事務局の効率化や情報収集・調査・分析に生成AIが今後さらに利活用されるべき。
・政策形成においては、「現状分析⇒課題探求⇒先進事例・た自治体研究⇒たたき案作成」の議会・委員会等での事前準備を一括して効率化できる。
・議会活動の質の向上に向け、首長からの情報に頼りがちだった情報の偏りを是正。
・事務作業から政策サポートなど議会事務局の作業内容の変革。
・多様な視点を活用した議論の質的変化。
等の活用の可能性が提示された。実際に議会活動に生成AIを具体的にどのように活用するのか、その手法とルール、またそのリスクや注意事項等の検討を今から行う必要があると感じられた。
【ChatGPTの地方議会での活用】
そもそも生成AIは、インターネットや蓄積されたデータ情報の検索・分析に加え、自然言語処理を用いて人に分かりやすいテキスト生成を行う技術である。この技術を用いることで、ChatGPTは、議会・議員・議会事務局が地方自治の現場において直面している様々な課題に対し、効率的な支援を行うことができるとされている。具体的には、議事録の作成、政策提案の草稿支援、住民からの問い合わせへの応答など、多方面での応用が考えられている。さらに議会の情報を一元化し、アクセスしやすくすることで、議員と住民の間の情報格差を縮小することも可能となるなど多大なポテンシャルを秘めている。
【考察や関連情報】
生成AIの導入は、議会のデジタル化を推進し、より公開され透明な議会運営にも寄与するものと考えられる。しかし個人情報の保護やセキュリティの確保も重要な課題である。生成AIの利用にあたっては、これらのリスクを慎重に評価し、適切なガイドラインのもとでの運用が求められる。
そうした点から、「生成AIの活用:横須賀市の事例(R5年5月)」「神戸市におけるAIの活用等に関する条例」東京都「文章生成AI活用ガイドライン(概要)」は非常に参考になるものであり、本市での取組の参考にしたい。
【今後の展望】
今後は、地方議会が生成AIの技術にどのように適応していくかが鍵となる。議員と技術者との連携強化も有効な手段であり、実際の議会運営において生成AIの利点を最大化するための研究開発にいち早く取り組む必要がある。将来的に、この生成AIの技術が議会の意思決定プロセスをサポートし、市民とのコミュニケーションを強化するようになったとしても、それを使いこなす議会・議員の姿勢や意識が大切であることに変わりはない。新しい技術とともに、今後も議会が重要な役割を果たしていくことが期待されている。
【参加者のフィードバックと反応】
参加者からは、「長時間かかる作業が数分で終わる」という反応が見られ、生成AIのポテンシャルに驚きと共に新たな可能性を感じ取った様子がうかがえた。また、参加者同士の交流セッションでは、他の地方議員とのネットワーキングが行われ、互いの経験を共有する貴重な機会となった。私は西東京市の議員さんと久喜市の議員さんと同じテーブルになり、それぞれのまちの状況と議会の様子を聞き、志ある議員の活躍の一端を垣間見ることができた。
ローカル・マニフェスト推進の一連の取組は、こうした全国の意欲的な議員・関係者の皆さんから様々な情報をいただき、刺激しあい、また各々の議会に戻ってからの活動を励ましあえる点が変わらず良いものだとあらためて感じることができた。
【その他】
研修後、実践の一つとして、質問に応じて議会用語を解説する『地方議会用語集』BOTを作成した。その状況は、以下のブログ記事を参照いただきたい。
ChatGPT『地方議会用語集』BOT
https://chat.openai.com/g/g-UtpeJoVFy-di-fang-yi-hui-yong-yu-ji
ChatGPTで『地方議会用語集BOT』を作成しました(やるぞ!あべぶろぐ)
https://ab4.jp/?p=7532
★この研修参加報告書は、ChatGPTに構成作成を指示し、私の言葉で大半を改変後、再度校正依頼をした結果出来上がったものである。校正の指摘は数点提示されたが、変更は行わなかった。通常の報告書作成と比べ、構成に様々な視点を盛り込むことができ、内容を深めることができたと感じている。その反面、報告書のテンプレートに落とし込むような指示をChatGPTにした訳ではなく、ChatGPTへの指示の作りこみや、回答の精査と報告書への落とし込みなど、いつもより数倍の時間と手間がかかってしまった。作業効率の向上と時間短縮を目的とする場合は、そのような作業の仕方をする必要がある。
同じChatGPTを使用し報告書を作成するという作業ひとつでも、「内容にこだわる」「時短を優先する」「総合的にバランスを取る」等の個性が出る。私は「内容にトコトンこだわるタイプ」で取り組んだ。新しいツールへの好奇心が、結果として時短ではなく、時間がますます無くなるといういつもの状況を助長してしまうこともある。
以上