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自治体ホームページについて

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自治体ホームページについて
相模原市議会12月定例会の一般質問において、自治体ホームページに関する事項を取り上げます。
相模原市の場合、11月よりYouTubeによる動画配信も始まりました。
TwitterやSNSなど新しいサービスが次々に現れるインターネットの世界で、各ツールの特徴や課題を素早く判断し、活用できるところはいち早く取り込んで、利便性を向上させて行くことが自治体の評価にもつながって来ます。
大切なことはその自治体がホームページをどのように位置づけ、市民サービスの提供に活用して行こうとしているのかの理念であり、戦略です。様々な社会の動きやインターネットの新技術が登場したときには、常にこの理念に立ち戻って考える必要があるからです。
また、こうした取り組みには、自治体の市民に対する考えがにじみ出てきます。
「ホームページを見れば、その自治体の考えや姿勢が分かる」
なんてことも既にあるのかもしれません。
以下、個別に自治体ホームページに求められるものを考えてみたいと思います。
双方向性
 自治体のホームページは、住民と行政のコミュニケーションのツールです。その意味では、一方的な情報の提供に終わってはいけません。住民からの声が少しでも届きやすく、「ぜひともコミュニケーションをとりましょう!」という姿にあふれているかどうかは自然と伝わります。
 各担当課への連絡先はすぐにわかるようになっているでしょうか。複数の連絡の受付口を設け、連絡してくれる人が十分に伝えられるだけの配慮をしているでしょうか。「分かりやすく画像を添付したいのに受け付けてくれない」なんてことはよくあるものです。
 また、いただいた情報に対する対応も、迅速丁寧に行われているでしょうか。それが、人によりけりではなく、組織として体制として整っているでしょうか。メールアドレスの掲載もなく、文字制限付きの単一のフォームで「送信」ボタンを押すしか役所へメールを送れないようだと、冷たい印象を与え、住民は壁があると感じてしまいます。
 ホームページがあることで、これまで出来なかったやり取りができるようになる。このことが持つ意味は大きなものです。開かれたホームページであるということは、それが開かれた行政であるということを意味しているのです。
情報公開性
 自治体ホームページは、質の高い住民参画を促すための情報共有を実現する貴重な道具となりえます。会議の結果をその日のうちに「会議録」として掲載すれば、次の日には住民が議論に参加することができるのです。そのためには、多様なニーズに応えうるだけの十分な情報量と、性格で質の高い情報であること、情報提供の即時性・スピードが求められてきます。
 これらを実現するためには、日ごろの業務の在り方から、個々の職員の能力まで、総合的な組織としての取り組みが求められます。全体的なバランスが悪いと、ある部署の情報は充実し、ある部署の情報は全然ない、ということになってしまいます。
分かりやすさと使いやすさ
 せっかくの良質な情報を充実させても、その情報にまで辿り着かなければ意味がありません。利用者の視点からの分かりやすさと使いやすさの工夫をどれだけしているか、実際のホームページだけでなく、どんな考えで取り組んでいて、実際にどのような部分でそれが生かされているのかを明確にして、利用者に説明することも大切です。一度の改良で突然素晴らしいホームページができるわけではありません。日ごろからの取り組みと、また利用者からの声に真摯に耳を傾けて取り組んで行くうちに、いつのまにか良いものができてくる、というスタイルが良い自治体ホームページには共通しているように思います。
 行政用語の言い換えなど、利用者視点から通常の業務へフィードバックできる点も多々あるのではないでしょうか?そうなれば、まさに「良いホームページは良い自治体を示している」ということにもなるわけです。
 また、行政の特徴として、利用者は様々な方がおられるということを想定しなければなりません。障がいを持った方でも、そうでない方と同様に情報を得て、やり取りできるよう、利用者への配慮も忘れてはなりません。
PRの道具として
 ホームページは全国、全世界からアクセスできます。ホームページを立ち上げた当初は広い利用者を想定しがちですが、運用しているうちに次第と自治体内での利用を中心に考えるようになってきます。しかし、いつでもどこからでもアクセスできるという点に変わりはありません。観光や自治体のPRだけでなく、施策と連動させてさらに効果を上げたり、自治体の個性を主張する場としてもホームページは有効です。
 お役所的な文書を掲載して、「パブリックコメントです」なんて記述をしても、結果として数件しか意見が来なかった、なんてことは多々あるようです。自治体内外の知恵を借りて、力を結集させてよりよいものを作り上げよう、という取り組み姿勢こそ求められています。そうしたホームページは見違えるように変わってきます。PR力も強いものになります。
 また、PRの道具としては、楽しく、また見たくなるようなホームページとしての見栄えももちろん大切です。
セキュリティ対策
 自治体には個人情報はじめ外部に流出してはならない様々な大切な情報があります。ホームページにそうした情報を掲載しないこともちろんですが、情報の取り扱いについて、どのような考えでどのような取り組みが行われているかを明確にすることは、住民の安心にもつながり大切なことです。一連のセキュリティ対策を確実に実施するだけでなく、取り組み状況についての情報公開がどれだけ出来ているか、またその考え方は間違っていないのか、住民とともに考え取り組んで行く姿勢を示して行くことが、一つのセキュリティ対策ともなるのです。
 
先進性・規範性
 自治体ホームページでの取り組みは、他の企業や個人のホームページなどへの影響の大きいものです。多様で広範な利用者を想定し、ユーザビリティ・アクセシビリティといった取り組みを進めることは、健全なインターネット社会の形成に大きく貢献するはずのものです。しかし、実際には自治体のホームページに新規性がなかなか見られない状況です。規範性を意識すると、先進性がおろそかになる、といった性質もあるのかもしれません。しかし、本来は先進性と規範性は両立させなければならないものです。誰かに先を行かせて、「この道は安全です」と言っているようではいけないのです。
 自治体ホームページでは、先進性と規範性を持った取り組みが、他自治体をリードすることになります。自治体間競争の時代、シティセールスの面からも、意欲的に取り組むべきものと考えられます。
以上

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