【選挙川柳】
ちょうちんを 生まれて初めて買いに行き
※「ちょうちん」は、選挙運動に使用できるものとして公職選挙法に定められています。でもこれこそ時代錯誤の証では?「ちょうちん」なんて、もう誰も使ってないって!
いざ告示となり、選挙戦が始まると、選挙事務所には候補者を示す看板などが設置されます。これら選挙事務所や演説会場等に設置できる物については、公職選挙法に細かく規定されています。選挙期間中は、そもそも氏名や写真など使用できるものが限られているわけですから、使用が許されているものはできるだけ活用したいと思うのが候補者心理です。
この使用が許可されているものの中に「ちょうちん」があります。サイズ(85cm×45cm以内)も規定されています。このちょうちんには「□□候補〇〇〇〇選挙事務所」などと書いて、誰の選挙事務所であるかを示すわけです。中に電球を入れて、夜通し点けておけばそれなりのPRにもなります。
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方向違いの出費が選挙の無駄に。
ところが、今の時代ちょうちんなど日常生活ではなかなか目にすることがありません。そこでわざわざ候補者となった人は買いに行くことになります。まさに生まれてはじめての「ちょうちん」購入ではないでしょうか…。
業者の方でもその辺りは心得ていて、選挙用品を取り扱っているお店に行けば、サイズや書き込む内容のレイアウト等を問題なく手配してくれます。もちろんそれなりにお金も必要になります。
法で定められたサイズ(85cm×45cm以内)の物をインターネットで検索してみると、選挙用ちょうちんひとつ一万五千円程度から、なかには四万円もするものもあるようです。事務所用と、演説会場用にと用意すればかなりの金額を用意しなければなりません。ものが良くなったり、雨風の対策をしたものは更に高額になるでしょう。灯りを点す電気設備やちょうちんをつるす台も必要になるかもしれません。
そして何より最大の問題は、このちょうちんがどの候補者の事務所(あるいは演説会場)であるかを示しているだけで、何の政策論争にも役立っていない点にあります。まさに選挙の無駄となってしまっています。
キャッチコピーやスローガンを書いたとしても、見づらく不便です。また、見にくいために読み間違えや誤解を生む可能性もあります。そして、一度キャッチコピーなどを印刷してしまえば、次回に使いまわしも出来ず不経済です。前回の選挙と同じ政策を訴えることはもちろんあるのでしょうが、仮にちょうちんの費用を惜しんで、自分がその時一番訴えたいことを変えられないようなことがあったとしたら本末転倒な話です。
工夫を認め、立候補のハードルを下げる。
候補者によっては、透明なプラスチック版や木枠に貼った障子紙を四角にあわせるなどしてちょうちんに見立てることも考えつくでしょう。しかし、これは看板の使用と受け取られてしまうため、違反になってしまいます。こうしたごく普通に思いつく工夫こそ、本来は大切にしなければならないはずです。これは政策を分かりやすく訴えるのに効果的であるばかりか、物を大切にすることにもつながり費用も安くつきます。
選挙のためにしか使用しないものが多数あると費用もかさみ、選挙に出ることのハードルが高くなります。立候補しやすい環境づくりという視点からも、これから本当に選挙に必要なものは何かを考え、それが安価に揃えられるよう仕組みを整えなければなりません。
PRや売名行為ばかりの競争では困りますが、政策を分かりやすく正確に伝える工夫を競い合う事はどんどんやっていくべきではないでしょうか。
「ちょうちん」が示しているもの。
この「ちょうちん」にこだわる理由は何も見当たりません。この「ちょうちん」という言葉の役割りは、公職選挙法がいかに時代錯誤であるかを示していると言う一点に尽きるように思われて仕方がありません。このことは、これからの選挙のあり方を考え、公職選挙法全般を時代に合ったものに変えて行かなければならない、と言うことを意味しています。
【意見・論点】どう考えますか?
・選挙では、日常生活で使用している物を再利用するなど費用を抑える工夫ができるようにするべではないでしょうか?
・費用を抑え、立候補のハードルを下げるためにどのようなことができるでしょうか?
・選挙に必要な道具とは、どのようなものだと思いますか?
【どうすれば良い】ひとつの方法として…
・まずは「ちょうちん」という言葉を公職選挙法から削除して、選挙に本当に必要なものを皆で考えてみてはどうでしょうか?
【公職選挙法】
第一四三条(文書図画の掲示) 選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号のいずれかに該当するもの
~中略~
一.選挙事務所を表示するために、その場所において使用するポスター、立札、ちようちん及び看板の類
~後略~
以上