【議論】
政務活動費は必要か?
について、論じました。
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政務活動費は必要であり、かつ議会がその権能を十分に発揮するために有効であると考える。
その理由は、議員の活動は多岐にわたり、現地を見たり、他の自治体の状況を聞いたり、最新の研究に触れたりする必要があり、政務活動費がそうした活動を支える制度であるからである。移動費や、書籍等の購入費、研究会への参加費、資料をまとめるための備品費等、議員には様々な経済的負担があり、政務活動費の制度がない場合、これらは議員自らの報酬から支出しなければならず、議員活動がより制限されたものとなる。
政務活動費を使わず報酬を増額する場合との違いは、政務活動費には一定の使途基準が設けられ、住民への説明責任をより明確に果たすことができる点である。その反面、議員にとっては使い勝手が悪くなるということもある。
どのように活用すればよいかについては、議員はその趣旨をあらためて確認し、趣旨に沿った形での活用を行うべきである。
政務活動費の趣旨は、分かりやすく条例やマニュアル等に規定されるべきである。その決まりを作る段階でも、広く議論を行い、政務活動費を使う意義について、住民と議会との間に「何にどう使うか」の共通認識ができなければならない。この過程により、政務活動費の制度そのものの議論から、実際の使い方の議論に進むことができる。
政務活動費が適切に使われているかは、なかなか判断が難しく、議員にとっては重要な取組が、住民にとっては不要なものと映る場合もある。本当に必要で条例等に則った使途については、議員の判断で堂々と使用し、住民の理解が得られるよう説明して行く必要がある。目新しい、議員の意欲的な取組については、本当に議員の活動として妥当か、住民の理解が得られるか、を常に考えなければならないが、こうした心配から活動自体を委縮させてしまっては、議員機能の縮小となり、住民のためにもならない。条例やマニュアル等の規定が議員活動の実際とあっていない場合には、代表者会議や議会運営委員会など適切な手続きにより見直し等を図るべきである。
住民との間で、議員が何をするのか、という共通認識を持ち、政務活動費を使った自らの活動をしっかりと見極めることが議員には求められ、こうした取組が議員の資質向上にもつながる。
住民から信頼されるためには、十分な情報公開と丁寧な説明を行う必要がある。政務活動費を使った活動で、どんな質問をしたのか、どんな政策を提言したのか、予算獲得や施策の見直しにどう役立ったのか等の成果を公表して行くことが必要である。
政務活動費の不正使用等、問題が多発している。政務活動費の仕組みそのものが不正の発生源となっているのであれば、政務活動費の制度を廃止すればよい。しかし、問題は政務活動費の仕組みではなく、そもそも議員の活動と考えられないことに、公費を充当しようとしたところが問題なのである。
報酬も議員活動に資する公費的な性格を持つと考えた場合、こうした不明瞭で不適切な使用をなくして行くためには、使途を明確に規定し説明責任を果たす仕組みを盛り込んでいる政務活動費の制度は有効である。
それでも政務活動費による不正の発生を完全に断ち切ることはできないことなどから、使用しないことを主張する議員もいると考えられるが、経済的な理由で十分な議員活動が行えない議員もいる。こうした状況から、議員がその権能を十分に発揮し、住民のために役立つためには、政務活動費の制度は維持しつつ、その使用については、個々の議員の判断に委ねることもひとつの方法である。
政務活動費の制度が有効となるためには、議員が住民から信頼され、十分な活動を求められるような存在であることが必要である。
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皆さんのご意見もお聞かせ下さい。
相模原市議会議員
阿部よしひろ
相模原市議会 政務活動費のページ
http://www.sagamihara-shigikai.jp/doc/2018062900280/
相模原市議会 政務活動費マニュアル
http://www.sagamihara-shigikai.jp/doc/2018062900280/files/seimukatudouhi_manual_h27.pdf