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選挙時のパワハラについて【実例から考える】

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 選挙時のパワハラとは、投票してもらったり、様々な活動を手伝ってもらったりしなければならない候補者や議員に対し、応援をする立場を利用した嫌がらせをすること、これが選挙時のパワハラです。 
 まずは、実例を挙げて考えてみたいと思います。

 実例から考える

 1、自分はあんなに応援しているのに、感謝の気持ちが見られない。

 呼び出されたり、電話口で、「自分はあんなに応援しているのに、感謝の気持ちが見られない」と言った趣旨の話をされることがあります。パワハラという視点では、言葉だけでは判断できず、シチュエーションや相手の真意がどこにあるのかが大切です。
 
 こうした話は、「みんなが言っている」「総意を私が代表して伝えている」という言葉を使いつつ、みんながいるところでは言わず、一対一の個別の場で言われる状況が多いと感じます。

 これは、実際には多くの人の総意でもなんでもなく、パワハラ主が権威付けをしたり、責任逃れをしているだけです。自分が文句を言いたいだけなのに、あたかも自分は理解をしているが、他の誰かが言っているかのような物言いで、その分余計に卑劣とも言えます。実際は、自分に感謝しろと言っているだけですから、ズルい話です。

 こうした場合の問題点は、相手の要求(この場合、相手にぺこぺこと頭を下げ、言うことを聞く姿勢を示すといったことなど)を聞くまで、話が終わらないことです。不毛な対応で時間と労力の無駄遣いで誰のためにもなりません。

 また、はっきりと「私には特別に感謝しなさい」などと明確に言う事はなく、「自らの判断に期待します」といった形で、何かあっても自分はそんなこと言っていない、議員が自分で勝手にそうした、と言い訳できるようにしていたり、巧妙な場合もあります。

 選挙や政治活動は多くの皆さんの支援がないとできるものではありません。実際の選挙においても、投票や声掛けだけでなく、掲示板へのポスター貼りや証紙貼り、葉書のあて名書きなど様々な実作業もあります。会合などに声をかけてもらい挨拶をすることもあります。

 こうした様々な支援や協力の上に、議員活動は成り立っています。感謝の気持ちがないはずがありません。だからこそ、議会や議員の役割や期待されている仕事を明確にして、キチンとその役割を果たして行くことこそ、しっかりと仕事をすることこそ、その恩返しであり、求められていることだと考えています。

 こうした話をすると、パワハラをしている当の本人からは、「そんなことはどうでも良い」「私への感謝が足りない」という本音が見え隠れすることがあります。

 この瞬間が、パワハラの始まりと考えています。

 これは、関わってきた多くの方への感謝の気持ちの話ではなく、パワハラ主本人がチヤホヤされて気持ちよくなりたいだけだと考えられるからです。

 ともすれば、多くの方の支援のおかげであることを忘れがちであることを戒めるという一般的な話とは全く別の話です。

 2、○○議員はうちに良く来るが、あなた(議員・候補者)は来たためしがない(と本人に言ったり、他人には大げさに言いふらしたりする。そして面白がる)。

 後援会の会合に出席してもらったり、議会傍聴に来てもらったりした時に、議員の方から電話でお礼をしたり、お宅を訪問してお礼状を届けたり、ということはよくあることです。また、いつもそうできるわけではなく、状況が変わったりして、そうそう連絡ができないこともあります。

 そんなタイミングで、別の議員や候補者から丁寧な訪問を受け、この議員は良い人だ、と気分良くなっていると、それに比べ私の所の議員は最近来ていない、偉くなった、えばっている、心がない、とどんどんエスカレートしてしまい、自分の中で執着するようになり、話が膨らみ、しまいには当の議員や候補者本人に電話をして来たり、手紙を送ってきたりするようになります。

 話の特徴は、「これはあななのために言っている」「みんなが言っている」と、自分が言っているのではなく、他の人が言っていることをあたかも代弁しているかのような言い回しをしりすることが多いようです。しかし、実際には明確な責任逃れです。何かあった時の予防線を張りながらの話になっていることが多く、巧妙でもあり、悪質でもあると感じます。
 
 こうした話は、本人に言うだけならまだ良心的な点もありますが、多くは尾ひれをつけて大げさに他人に言ってまわったりして、聞いた方も面倒を避けるために愛想笑いをしていたりすると、このことが「みんなが言っている」の根拠になってしまうようです。世間話としてこうした話を肯定も否定もせず、面白がっていると、「みんな言っている」になるわけです。
 
 パワハラを受けた議員や候補者は、一対一の中でやり取りせず、第三者を入れて、多くの人と共有しながら対応することが必用です。

 3、窓口などの対応や、市の施策で気にくわないものを見つけると、その職員の懲罰など個人攻撃を議員に要求してくる。

 市の職員の対応が悪いこともあるでしょう。市の施策が自分の考えと違うこともあるでしょう。だからといって、その窓口職員の懲罰だとか、施策の撤回だとか、そうした要求は過剰です。自分が納得しない時は、「分かりにくい」「説明が足りない」と言いながら、パワハラ主本人がいざ自分が話をする時に感情にまかせていて、誰もが納得に行く話にはなっていません。これでは誰も話を聞いてくれません。

 それを議員に求めて、その根拠が「自分は応援している」では、議員の方も困ってしまいます。筋道立った根拠は、「そんなもの議員の方で考えろ」といった姿勢ですからひどい話です。

 感情的な話は、聞かされている議員が同意を示し、これを受け入れるまで終わらない場合が多く、そもそも到底受け入れられる話ではありませんので、不毛な時間が費やされます。

 自分が嫌な思いをしたから、他の人も嫌な思いをするに違いない。こうした面は否定しません。職員にも問題があり、直さないといけないこともいっぱいあるでしょう。また、市の施策も問題や課題があるものや、有利になる人と不利になる人の両面があったりすることも理解できます。問題は、自分が嫌な思いをしたのだから、その代償を議員に要求することです。間違っています。

 議員は、平等な立場から判断しなければならず、支援者だけの味方ではありません。そうした正義を実現できることを、支援者の方も望んでいると思います。不正を望む支援者はいないと信じたいですが、心の本音では私も含め誰でも自分の利己的な面は否定できず、曖昧な部分はあるものだと思います。特に、感情的になっていると、そうした面が表に出て来がちなのだと思います。

 議員は弱い立場の人を守る姿勢が大切です。パワハラをする人は弱い立場ではなく、攻撃されている職員の方が弱い立場であることが多いと思います。

 自分や家族をしっかりと守ることも、議員の責務であり、健全な民主主義や選挙制度が機能するために必要なことだと考えます。

 4、議会中でなど、対応できない時間でも、自分の電話に出ないと激怒する。

 自分が電話をした時に出ない、メールを送ったが返信がない、これで激怒し、エスカレートして行くことがあります。

 特徴的なのは、自分の都合で議員や候補者に連絡し、相手の都合は考えていないことです。信頼関係があれば、そもそも問題になるようなことではありませんので、既に信頼関係が崩れているのだと思います。勘違いから信頼関係が崩れてしまったということもあるでしょう。

 「後で連絡すれば」がずるずると連絡できずにいたり、議員や候補者に問題がないとはいえません。しかし、大切なことは、だからといって議員や候補者の人間性まで否定するような話ではない、ということです。

 パワハラ主にとって「応援してくれる人(自分)は何より大切」「応援してくれる人(自分)が電話したのに出ないのは問題」「えばってる。偉くなった。だから電話に出ない」とエスカレートする過程で、あくまでも自分が応援したことだけが過大評価されて行き、そのことが全ての判断基準になってしまっていることがあります。

 また、早朝や深夜など、常識的でない行動も、自分のせいではなく、議員や候補者が「電話に出ないから悪い」と自己正当化と責任転嫁をします。

 パワハラ対策では、一対一の関係は絶対に避けるべきです。電話にも出るべきではありません。そうすると「無視をした方が悪い」「自分は悪くない」と、まるで被害を受けている議員や候補者がパワハラをしているかのような物言いをしてくることもありますが、第三者を入れて、記録を残し、堂々と対応することが大切です。
 
 曖昧にせず、嫌なことは嫌とシッカリと対応することで、自分だけでなく、他にも救われる人が沢山いることを思い出し、勇気をもって行動してください。

 5、キッパリとした態度をとると、家族が攻撃される。

 私は、議員や候補者本人が何を言われても、これは仕方ないこと、と考えていました。しかし、これは明確に間違いでした。

 こうした態度が相手を増長させてしまう面が確実にあります。たとえどんな支援者であっても、ダメなことはダメです。それを曖昧にし続けることで、パワハラ主が無意識のうちに「自分がチヤホヤされることは当然」と思うようになってしまう一因となります。

 たとえ有力な支援者であっても、そうでなくても、どんな相手に対しても、同調できないことはキッパリと明確に言わないといけません。しかし、若い人など人によってこれはなかなか難しいことだと思います。そこにパワハラの生まれる余地があり、パワハラが卑劣な点でもあると思います。
 
 また、議員や候補者本人だけでなく、家族が攻撃されることもあります。

 自分に対するパワハラをやめるようにキッパリと言うと、しばらく攻撃されなくなります。しかし、いつの間にか、その矛先が家族に向くことがあります。

 「頭を下げない」「挨拶がない」こうした言葉を、個々に呼び出したり、電話したり、本人のいないところで、家族に直接言ってくるのです。

 家族も困ってしまいます。どうしてよいか分からないからです。議員や候補者本人とその人(パワハラ主)との関係も知らず、その人がパワハラをしているかどうかなど思いもよらず、不用意なことを言ってもいけないといろいろ考えながら、困惑してしまっているのが実態です。

 すぐに逃げられれば良いのですが、とりあえず謝っておこうとか、曖昧な態度を取ってお茶を濁していると、今度はそのことが同調したと勝手に決めつけられ、「奥さんも言ってる」「お母さんがそう思っている」「私が言っているのではない」と今度は家族に責任転嫁して、議員や候補者を攻撃してくるのです。地域にも議員や候補者の家族の話だとばかりに言いふらすなど、卑劣としか言いようがありません。

 直接的に対応が見える議員や候補者本人と違い、家族の皆さんはただがんばっている本人のために応援しているだけですから、問題が余計見えにくく、より深刻になっている場合もあり、心配です。

 【対策】どう対処するか

 どう対処するかは、他の選挙時のパワハラと共通する部分が多くあります。
 ・一対一の場面で話をせず、皆の前で話をする。
 ・自分で解決しようとせず、他の方に相談する、等客観的な判断を求め、問題を共有してもらう。
 ・言われたことや対応を録音したり、メモを取ったり、資料や記録を残しておく。
 ・警察や弁護士、市役所担当課など、公的な機関に相談する。
 ・自分の考えを堂々と明確に主張して、考えが違うことをキチンを発言し、第三者にその様子を確認してもらう。
 
 最期の部分ができるに越したことはないのですが、現実的にはそんなに分かりやすい訳ではなく、複雑で曖昧なものだと思います。一般的なパワハラの対応も参考にして、出来る限りの毅然とした対応が必要と考えます。

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 まとめ

 こうした話は、外からは分かりにくいもので、当の本人の気分によっても言ってくる内容や態度が変わることがあります。しかし、こちらから言うべきことは曖昧にせず、毅然とした態度で対応しなければなりません。黙っていたら、同意したと決めつけられることもあります。

 きちんと対応することで、良好な関係を取り戻すことができる可能性もあり、その場しのぎでチヤホヤしたことが、結果として相手をエスカレートさせ、パワハラモンスターを生み出すことになってしまうこともあり得ます。

 放っておいて済むと考えず、キチンと対応することとともに、すぐに相談したり、記録を残すことを習慣づけることが必用です。

 これからも、様々な事例について考えながら、こうした問題に取り組みたいと考えています。

 皆さんの考えやお話しもお聞かせください。

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