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政治家のTwitter利用で思ったこと

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『政治家のTwitter利用で思ったこと』(カテゴリ:未分類)
- CNET【eデモクラシーの実現】より転載 -
政治家のTwitter利用で思ったこと
池に誰かが小石を投げ込んで波紋が広がる。やがて沢山の人が投げ込んで、複雑な模様ができている。自分もやってみたくなって一つ小石を投げ込んでみる。すると自分の波紋も広がって、全体としての模様の一部となって行く。誰がいったか知らないが、これがTwitterのイメージだ。
Twitter自体の特徴は、掲示板やチャットの書き込みのように情報の発信者と受信者が同じものを見ているのではない点にある。2ちゃんねるやmixiのコミュニティとは根本的に違う。
また、ブログのポータルサイト等で、次々と様々なブログの更新情報が時系列に意味のつながりと無関係に表示されるものとも違う。
Twitterで表示される発言は、自分がフォローした人たちのものであり、そこに会話が成立している場合もある。
Twitterでは、自分がフォローという形でつながった複数の相手の発言が、時系列に表示されてくる。ここで自分がフォローしている相手同士がつながっている場合もあるし、つながっていない場合もある。まったく同じメンバーで相互にフォローし合っているのでない限り、自分が見ている発言の羅列は世界で唯一つのユニークなものである。だから続けて読むと意味の分からないおかしな場合が多いが、不思議なことに意味がつながってくる場合もある。厳密さを要求しない気軽さが、情報の発信者受信者ともに求められる。
ここで自分が発言すると、自分とつながっているメンバーにその発言が届く。その発言が重要であると判断されれば、発言の届いた誰かが自分のつながりの中に更にその言葉を伝えて行く場合もある。
こうした必ずしも連続的とはいえない発言・メッセージの羅列の中に、自分も参加して行く面白みがTwitterの醍醐味だろう。自分の発言が別の何かにつながって行くこともあるのだ。
ここにはどこかブレインストーミング的な魅力があり、何が生まれるか分からないというささやかな期待と、発想の広がりや可能性を求める姿勢でお付き合いして行くと、参加者相互に得られるものが多いのではないかと感じられる。厳密な議論や物事の追及、判断基準となるような発言は難しく、何かのヒントを得られれば、くらいの気持ちでいると実際に楽しく参加できているようだ。
ここで、最近、政治家のTwitter利用が話題となっている。マスコミにも衆議院議員の逢坂誠二さんが、国会の様子をTwitterで中継したことが取り上げられていた。「Twitterと政治を考えるワークショップ(http://www.glocom.ac.jp/2009/06/twitter.html)」も開催されている。
政治家がTwitterを利用することの意義は、見えにくい、わかりにくいと言われる政治家の活動の実際を伝え、また重要な問題意識の喚起を行い、Twitterを通じて直接のやり取りができる点にある。
政治家とのつながりができることで、政治家に対して質問や疑問、意見等をぶつけ、政治家がそれに答えるということもあるだろう。これは本来身近であるはずの政治家が遠い存在になってしまっている現状に対し、見えなくなっていたものが見えるようになってくるという点で大きな意味がある。
そして、政治家本人にとっても、自ら情報発信すること以外の利点も多い。現在Twitterにはそれぞれが個性的な意見を持って活躍されている方がたくさんいて、そうした方々とのつながりが大きな財産となる。個々の発言から得られるものは多く、自分の活動にフィードバックしたり、考えを深めたり、より広範で具体的な情報を得て議論を深めたり、と自分しだいでプラスになることがいっぱいある。
とは言え、Twitterを利用するには、インターネットや携帯電話での作業が伴い、それなりに時間と労力もかかる。新たな責任も生じる。もともと様々な活動を行っている政治家であるから、新たな負担をわざわざ背負い込む必要はないのかもしれない。しかし、政治家が現状に満足しているはずはない。日頃のそうした見えない活動が見えるようになることの意義は大きく、またTwitterの場合は事務的作業も他のインターネットサービスに比べればそれほど大きくはない。むしろTwitterの独特な文化を理解し自分なりに受け入れる努力がネックとなるのかもしれない。
政治家は、今、インターネットを政治活動にどう取り入れるか、決断を迫られている。インターネットの活用を取り入れず、インターネットと無関係のこれまでの政治活動を更に充実させる選択肢もある。また、インターネットの活用においても「ホームページ」「ブログ」「メルマガ」「SNS(mixi・gree等)」「掲示板(2ちゃんねる他、自己設置)」「チャット」「動画(YouTube・ニコニコ動画等)」等様々な機能・サービスがあり、今後は更に新しいものが登場してくるだろう、そのどれに取り組むか、決してどこかに答えがあるわけではない。政治家は自分の判断で、自分にあった、もっとも意義があると考えられる取り組みを行ってもらえればそれで良いのだと思う。Twitterもその選択肢の一つに過ぎないことを忘れてはならない。
また、Twitterに限っては、今のところ利用する政治家が少ないことは大きな課題だ。多くの政治家が利用することで、政治家の個性にあった利用の仕方もそれぞれ出てくる。政治家はなかなか自分の活動を他の政治家に勧めることは少ない。勧められても素直に受け入れるかどうかも分からない。同じ党派であっても、政治家はそれぞれがライバルでもあるからだ。しかし、それではせっかくの全体としてのTwitterの利用も小さな世界になってしまう。Twitterを既に利用している第一世代の政治家は、それだけでも立派なものだ。次の役割は、より広く多くの政治家を巻き込んで行くことである。
幸い、Twitterの場合、「Wikipedia Twitter議員(http://ja.wikipedia.org/wiki/Twitter議員)」や「politician.jp日本の政治家のtwitterアカウント一覧(http://politician.jp/)」のように、情報の交通整理をしてくださる方がいて、政治家として利用しやすい状況にある。先にふれたその他のインターネットの機能・サービスでも必要なものであるが、整理より前に個別に進んでしまっている現状と感じられる。
また、一言で政治家といっても国会議員、地方議員、知事市町村長、立候補予定者、と立場や環境が様々である。そして同じ立場や環境の中でも年齢や経歴などがまったく違う。そうした中でTwitterに取り組んで行くということは、まったく未知の部分に挑戦することでもある。挑戦者としての前向きな気持ちを持った政治家を、ぜひとも批判するのではなく、(このTwitterの世界では)温かく育てよう、という文化があることを、私は願っている。
Twitterのおかげで政治に関心を持つ人も少なからずいるだろう。
政治家の皆さんには、あと一歩踏み込んで、まずはTwitterに取り組んでみることをぜひともお願いしたい。
Twitterと政治を考えるワークショップれぽ
http://fumi.vox.com/library/post/politics-1.html
※CNET【eデモクラシーの実現】より転載。
※CNET読者ブログのサービス終了にともない、記事移転を行いました。

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