『2010年を「eデモクラシー元年」に! -ネット選挙解禁の記事を読んで-』(カテゴリ:未分類)
- CNET【eデモクラシーの実現】より転載 -
2010年を「eデモクラシー元年」に! -ネット選挙解禁の記事を読んで-
2010年1月4日(月)の読売新聞朝刊一面に「ネット選挙運動解禁 公選法改正 民主方針 夏の参院選から」とあった。
民主党はインターネット選挙解禁を含め、選挙運動の大幅な自由化を目指す方針を固めた、とのことである。また1月からの通常国会には改正案を提出し、夏の参院選からの実施を目指す、ともある。
改正が実現され、夏の参院選でインターネットによる選挙運動が実施されれば、2010年はまさに「ネット選挙元年」となる。しかし、最終的に目指すべきは単にインターネットで選挙運動が行えることだけではないはずだ。それは、インターネットを活用し、政治への国民参加と誰もが納得できる新しい合意形成の仕組み作りを果たすことだ。だからこそ、ネット選挙に焦点をしぼるのではなく、私たちの政治や選挙のあり方全体についての広い議論が求められる。
また、記事によると、民主党は夏の参院選でネット選挙解禁を果たした後は、戸別訪問解禁等のその後の選挙法改正を公約に掲げ、争点とする意向があるとのことである。一つ「戸別訪問」だけでなく、私たちの政治と選挙のあり方全体についてより広く議論が行われるべきであり、この点についても同様に、インターネットからも沢山の発言が行われるのではないかと期待している。
もちろん、マニフェスト配布が一部選挙で実現されたように、課題について一つひとつ取り組み、少しずつ理想に向けた改革を進める必要性や重みはある。しかし、同時に全体的な議論も行われなければならない。情報通信処理の技術とそれを使ったサービスは、とっくにはるか先に進んでしまい、社会生活が既に変化してしまっているからである。
地方議員として活動している私の現場の感覚では、夏の参議院選挙でインターネット選挙解禁を果たすことは、かなり性急な印象を受けた。これは、このスピード感覚を否定することではなく、社会全体での議論が十分ではないとの思いからである。インターネットの中で行われている議論と、世間の感覚や意見にはまだまだズレがある。このズレの両面にある世界は、どちらも変わらない現実のものであり、それぞれをよく理解し尊重しなければならない。
合意形成の仕組みである選挙制度に関わる取り組みであるからこそ、誰もが納得できるだけの議論を行い、それに見合った内容を示すこと必要である。しかし、時間はあまりにも短い。中途半端な内容では、かえって民主主義を後退させる危険すらある。また、合意形成にインターネットを活用しようと言う話なのだから、その議論には徹底してインターネットを活用してもらいたい。その取り組みこそがeデモクラシーの具体的な姿につながって行く。
記事にあった、なりすましや中傷対策が成否の鍵、との言葉は、あくまでも法改正実現のための話だ。本来あるべき選挙の姿についての議論ではない。だからこそ、2010年は「ネット選挙元年」を目指すのではなく、「eデモクラシー元年」を目指すべきだ。eデモクラシーこそが、政策形成と合意形成にインターネットを活用しようと言う取り組みだからであり、インターネット選挙の解禁は、ほんの一部の話に過ぎないのだ。
読売新聞 政治欄 :http://www.yomiuri.co.jp/politics/
※CNET【eデモクラシーの実現】より転載。
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