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第二条【議会重視】議員は議会を動かし、議会機能を発揮せよ。
※立法、施策・予算の決定、人びとを巻き込んだ合意形成、行政へのチェックと提言、そして市民への周知。一つひとつの役割は重く、そして十分ではない。議員は議会として行動し、議会機能を最大限発揮せよ。
規定されている議員の務めは、議事機関である議会を通じて行動することである。議員は、議会での活動を第一とするべきである。合議体である議会での決定は、それゆえに重いものであり、議員は議会を通じて行動することをおろそかにしてはならない。
議会機能を最大限発揮するためには、市民への情報提供や説明、報告、参加の呼びかけ、調査、研究等はもちろんのこと、議会運営に協力し、定められた議会のルールを良く理解することも必要である。議会のルールを守ることで自らの発言機会も確保され、限られた時間や機会を最大限活かすことが可能となる。議会が全体として機能するためのルールがあり、各議員が決まりを守ることで、議会も機能する。自分と同じく、他の議員を尊重することも大切なことである。
議員一人ひとりの権限は小さいものであるが、議会としての力は大きなものである。いかに選挙を勝ち得た代表であるとしても、自分の主張がすべて信任を得た訳ではない。それぞれの議員の意見がぶつかることは沢山ある。そうした意見の違いを乗り越えて、徹底した議論の後に得られた結論は、それだけ重みがあり、議会の決定として最大限尊重される。
議員の力は議会通して発揮されるものであるから、議員は市民を巻き込み、議会活動に全力を尽くし、議会を動かして、議会機能を最大限発揮しなければならない。
なぜ議員は議会機能を発揮しなければならないのか。それは、議員一人の権限はそう大きなものではないが、議会としての権限は絶大なものだからである。一人ではフットワーク良く活動できるが、それぞれ考えの異なる大勢の議員が規則に則って議論を行い、結論を出してゆく道筋は簡単なものではない。それだけに、議会での決定は重みを持つ。議会での活発な議論により、自らの政策を実現できるよう議員は努めなければならない。
関連する心得【徳は孤ならず】議員は仲間を作れ。
※議会でも地域でも、同じ志を持つ仲間を作って行動せよ。
志を曲げずに、信念を通して行動しようとすると、どうしても孤立してしまいがちだ。しかし、議会は合議制の議論の場であり、最後は多数決で決める。自分の主張と他の人の意見を聞くことは一体である。よく人の話を聞き、どうしたら互いに歩み寄れるのか、粘り強く話し合うことは大切なことである。また、一人では視野が狭くなるし、情報も偏りが出て来る。協力すると活動に広がりが出て来るし、自分が他の人に役立つとともに、仲間も自分に新しい発想や力添えをくれるだろう。
一人でしっかりとやるべきことと、仲間と一緒に取り組むことと、それぞれの場面がある。なれ合いになってしまってはいけないし、ただの数合わせになってもいけないが、同じ志があれば、きちんとしたコミュニケーションができる。良い意味で気持ちが伝わり、信頼関係の上に行動ができるものだ。議員活動は順調なことばかりではなく、苦しいことの方が多いかもしれない。誤解や失敗で辛い時もあるかもしれない。そんなときにこそ仲間のありがたさが分かるだろう。苦しい時の友は真の友ともいう。「疾風に勁草を知る」くらいの気持ちでいるほうが、その後もより強いつながりで活動することが出来るだろう。
議会だけでなく、地域での活動や様々な場面で、積極的に仲間を作るべきだ。協力を呼びかけたり、自分からできることを手伝ったりすれば良い。議員は市民の代表である。それが孤独で良い訳がない。徳は孤ならずの言葉もある。良い活動には自然と人が集まり、いつの間にか支援してもらえるものであるが、なかなか自分の活動が他の人に伝わるには時間もかかる。人々の中に入って行き、仲間を作って活動しよう。
関連する心得【改革】議員は議会改革を着実に進めよ。
※本質を見極め、変えるべきは変え、守るべきは守れ。やらねばならぬことは勇気を持ってやり遂げよ。
なぜ改革が必要か、という議論はなかなか分かりにくいものである。どの議員も「改革」「改革」と言うが、大切なことは何をどう改革するかということである。社会と人々の生活は常に変化し、情報化の時代を迎え、その変化のスピードは速度を増してきている。どんな課題に対しても、これまでの利益を守り、社会の構造を維持するだけでは政治は破たんしてしまう。それは、常に変化する社会や人々の暮らしにあった政治を行わなければ、不要なサービスばかり提供し、必要なサービスが提供できないことになってしまう。
また、改革は現状を変えるだけの話ではなく、将来を見越して、私たちの在り方を決めてゆく作業でもある。だからただ変えれば良いというものでもない。いったん変えた仕組みを軌道修正することは大変なことである。政治は息の長いものであり、激変を続けていては混乱しか残らない。過去・現在・未来の私たちの姿を見極め、何をどのように、どうやって変えてゆくのか、そして変えないものはなぜ変えてはならないのか、しっかりとその議論を行い、変えるべきは変え、守るべきものは守ることが真の改革である。
こうした改革の過程で、議員の果たす役割は非常に大きい。市長・行政部局は執行機関であり、決まりに則って事務を遂行する。議会はその決まりである条例を決定する機関であるから、改革は本来議会の役割である。議員はその自覚を忘れず、勇気をもって改革をやり遂げなければならない。
また、改革は一時の流行のようなものであってはならない。推進力のある議員がリードしているときは様々な改革が進み、その人がいなくなると元に戻ってしまうような場合もある。個々の事例に対応することも大切であるが、自分たちを見つめなおし、改革を継続できるような体質を作ることが一番大切なことである。
議会のあり方にも答えはない。社会も変化し、議会もそれに先んじて変えて行く必要がある。改革は一時的なものではなく、継続的なものである。議会・議員にとって、それは習慣としなければならないものである。
関連する心得【チェック機能】議員は別の視点を忘れるな。
※「本当にそうか」ともう一度疑ってみることも大切。人が良いだけでは役割を果たせない。
合議制の議会を構成する議員には、地域や政党、支持基盤、基本的な考え方等、もともと様々な違いがある。このことが、社会や市民の中にある多様性を少しでも意思決定に反映させようと言う点で機能している。しかし、限られた時間やいろいろな制約の中で、多数派の意見にそのまま同調してしまったり、またはその逆でとにかく反対を続けてみたり、と言うことがあるかもしれない。しかし、個々の議員はそれぞれが意味を持って選出されてきているのであるから、もう一度よく考え、「本当にそうか」「別の視点はないか」と疑ってみることは大切な姿勢である。こうして気付いた点は、きちんとルールに則って、発言したり、提案したり、と議論することが大切である。誰かの言うがまま、もしくはその反対ばかり、と言うことでは、議員の存在意義が損なわれてしまう。議員はそれぞれが持つ個性を最大限発揮して、議論に望むべきである。
また、議論に当たり、行政側からの資料提供が少ないことに不満を漏らす議員も見かけることがある。それはそれとしてきちんと指摘しつつ、提示される資料だけに頼るのではなく、自らの足で調査し、目と耳で確認し、自分の頭で考えた発言こそ意味があるものである。そうした姿勢で取り組んでいれば、自ら決定するべきことがらについて、市長に質問したりするようなこともないはずである。
関連する心得【勇気】議員は発言を恐れるな。
※丸くおさめることが良い議会ではない。きちんと議論するためには、遠慮してはならない。行動することにおいても同じ。
時に議会では、何も質問や意見が出ず、全会一致で賛否が決定することを良しとする場合がある。これまでの長年の市をあげての取り組みが実を結んだ場合や、人権や平和と言った議論の余地のないものについては、異論なく議会として明確に意思表示を行うという意義はあるだろう。しかし、全ての場合においてそうであるとは限らない。
勉強不足によるとんちんかんな発言や質問は慎まなければならないが、きちんとした調査や研究の裏付けのある発言は勇気を持って行わなければならない。発言しないことで、他の議員の顔色をうかがっているようなことはないとは思うが、発言するしないの基準は、それを言わなければならないかどうかということであるはずだ。もちろん、ただ発言すれば良い訳でない。人の意見も聞かず、何でも手を挙げて発言しているようでは、ますます議論が空虚なものになってしまう。それだけ発言するためには、それまでの多大な労力を使って、日頃から備えておかなければならないのである。
発言してはじめて明らかになる問題もある。発言がなければ、市民にはどうした経緯でその結論に至ったのかが分からない。議会がセレモニー化しているという批判には、「さすが議員だ」と言われるよう、明確に答えるべきだ。議会での活発な議論は、市長側と議会側に適切な緊張関係を保ち、政策・施策の質を高め、市民のためになるものである。
また、発言だけでなく、議員としての活動を行うにあたり、他の議員や市長部局の顔色を見る必要はない。判断の基準は、「それが市民の為になるかどうか」だけなのである。必要なことにはきちんと取り組まなければならない。例え新人議員だとしても、誰かに遠慮していては、誰のためにもならないものである。
※この「議員の心得」は、私個人が議員のあり方についてに考え、身近に置いていつでも読み返すことが出来るようにと作成し、実際に活用しているものです。皆さんのご意見ご感想をコメントやメールでお聞かせください。
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